セミメカニカルチューブといえば、以前はハチドリのマークでお馴染みの「Colibri」などちょっとお高い製品が中心でしたが、その後Cthulhuから「Cthulhu TUBE MOD」がリリースされ、ゲームチェンジャーとなりました。価格はリーズナブルな上に、18650/18350の可変機構となっており、これのヒットを受けて定格電流や電源オン・オフの機能があるチップを搭載したフォロワーも登場しました。
Cthulhuといえば初期ロットに不具合が付きものという流れがすっかり定着してしまっており、前作では「コンタクトピンが陥没し戻らない」や「パフボタンを離しても過熱が続いてしまう」等の症状がありました。なので、多少の不安はあるものの、その後はすぐに購入者に対して対策済み基盤が送付されるなどの対応が取られたことから、メーカー側の対応にも好感が持てますし、まぁなんとかなるでしょ精神で購入してみました。
というか、すぐに欲しくなってしまったのでそんな対策とかは起きてから考えましょうってことで。
今回の【Cthulhu TUBE MOD 2】はセミメカニカルチューブでありながらサイドスイッチではなくボトムスイッチを搭載し、よりメカニカルチューブライクとなった製品です。
ボトムスイッチのセミメカチューブといえば少し前にACROHMから「FUSH」というものもありました。こいつはもうチューブ自体がビッカビカに光るド派手なMODでサイズもなかなか大きく、ボトムスイッチは使ってみたいけどメカは怖い勢からすれば「おぉう...」というものでありました。あれはあれで使用者の話を聞くと大体の人は満足してるみたいではあるんですけどね。
また、THC(Thunder Head Creation)によるTaurenシリーズにはハイブリッド接続と18650セミメカニカル接続を切り替えられるものもありました。当時そんなに話題にならなかったのは26mm経と少し太めだったり、主張し過ぎなロゴのせいもあったのかもしれません。
どうやら世間的には、できるだけ細身でシンプルなチューブを好む傾向がありそうです。自分もその内の一人です。
そんなワガママVaperの間隙を突くように今回のMODがリリースされました。
どんな仕上げになっているのか、前作と比較しながら確認していきましょう。
※1 電子タバコ(VAPE)は20歳以上を対象とした嗜好品です。対象年齢に満たない方は使用をお控えください。
※2 本製品は保護機能がついているものの、バッテリーの出力をバイパスで引き出すメカニカルMODとなっています。取り扱いにはある程度の知識が必要となりますので十分ご注意ください。
パッケージと付属品
筒です。
Cthulhu製品のパッケージは缶か筒のイメージです。
以前は基本的に缶パッケージで、前作のチューブくらいから筒も使い出した気がします。確かテクニカルMODの「Hastur MOD」はMODながら缶で、アトマイザーの「Mulan RDTA」は筒でした。
今回のもオレンジ基調だし最初間違えてMulan来たのかと思った。
本体はやたら繊維が舞うポーチに入っています。すんごい舞う。
それと取扱説明書が付属。
説明書には日本語による記載もありました。
スペック
材質:304ステンレス(食品グレード)
抵抗値範囲:0.25Ω~
スレッド:510
直径:24mm
高さ:86mm(18650Ver)
56mm(18350Ver)
重さ:130g
チップセット:MOSFETチップ
→短絡保護
バッテリー逆挿し保護
通電10秒カット保護
過電圧保護
低電圧保護
外観
バラすとこんな感じ。
18650バージョン
左:今作 右:前作
18350バージョン
大きさはやっぱりコンパクトに感じます。
前作と比較するとボトムスイッチになった分、全高が高くなっていますが外径などは変わらないのでほんとにスイッチの使い方が変わっただけって感覚です。
実際、コンタクト側(上部)のスリーブは前作と互換があります。というか同じです。
ボトム側についてはスイッチの関係で、前作は両側がオスになっていたのに対し、今作は上部のものと全く同じものとなっています。
スレッドはそこそこスルスル回ってくれるんですが、個体差のためか前作ほどのスルスルさはなくなってました。悪いってほどじゃないんですが、前作が素晴らしかっただけにちょっと見劣りするかな?ってくらい。
タコさんはカッコよくなりましたね!
というか前作は何かの間違いだったのでは...?
可愛かったんですけどね笑
エングレービングなんですが、スイッチ部ということもあり使用しているうちに薄くなっていきそうです。
内側はインシュレーターで絶縁処理されているのいいですよね。それでも毎回バッテリーシュリンクに破れがないかは確認しましょう。
アトマイザーのマウント部分は少し面取りされていますが、前作ほどの傾斜はなくなりました。前作は傾斜がついて22mmにフィットするようになってたんですが、今回は23mmでフィットですね。その分、24mmとの差が小さくなっているので、24mmとの相性は良くなっていると思います。
チップ
チップについてはインシュレーターというかゴムの切れ端みたいなもので隠されています。
裏側からピンセットで摘んで見るとペリペリ剥がれるので、基盤に両面テープで貼ってあるようです。
あとは前作と同じ要領でネジ留めを外すと基盤が外れます。
コンタクト部分は前作同様で、シリコンが下に挟まってます。
これ前作不具合の応急処置じゃなかったのか…。
シリコンの弾力によってコンタクト部分が陥没するのを防止してくれるものなんですが、同メーカーの「Hastur mini RTA」みたいなコンタクトピン長めのものを長期間つけっぱなしにしているとやっぱり陥没はしちゃうんですよね。マメに外せばいいだけなんですけどやっぱり億劫じゃないですか。マメな人ってすごい。
操作方法
左:ロック解除 右:ロック中
前述のとおり、スイッチにはロック機能がついています。
下部全体が押し込まれるわけではないので、使用中に立てて置くくらいなら特にロックは不要ですが、少しの持ち運びだったりするときにはやっぱりロックがあると安心です。これがあるのとないのとだと、デイリーユースするのに対し、かなり心理的な負担が軽減されるんですよね。「めんどくさ」ってなりにくいというか。
(※本来はバッテリーを外して持ち歩くのが望ましいです。)
このロックなんですが逆ネジになってます。
バッテリーを入れてスレッドを閉めていき、しっかり閉まると逆ネジが動き出してロックされるって感じですね。不意に押し込まれてしまうのを防止するっていう意味でいい機能だと思います。
使用するときはその反対に回すことでパフできるようになります。
回しすぎるとスイッチの締め込みが緩むので注意。
ちなみにバッテリーの長さを吸収するのはスイッチ自体に機構があるわけではなくではなく、このスイッチのスレッドの締め込み具合で調整されます。テレスコピックみたいなイメージかな?
なのでこんな風に微妙に隙間が空いてしまったりします。
気になる人は気になると思うんですが、実はこの隙間、ロックした時にできる隙間とほぼ等間隔なので、ロックしている間は「そういうデザイン」のように見えます。これもなかなか考えられていますよね。
バッテリーはあんまりギュギュウに締め込んでいくと陥没してしまうので気を付けましょう。前述のようにロック機構の方を持って締め込んでいけば、ある程度のところでロックがかかるので目安になると思います。
フィッティング
18650バージョン
Bishop RTA (22mm)
Manta V2 RTA (22mm)
Wasp nano RDTA 末広キャップ (22mm)
Galaxies RDA 末広キャップ (22mm)
Morphe RDA (22mm)
18350バージョン
Hastur mini RTA (22mm)
Requiem RDA (22mm)
使用感
チューブの命はやっぱりスイッチだと思うんですが、そこはやはり値段なりの作りか。
押し込むときに「キシキシ」というような金属の擦れる音がします。
使用しているうちに摩耗してなくなっていくかもしれませんが、これがなかなか安っぽくも感じます。
ストローク幅は1mmくらいかな?かなり浅めです。
構造としてはスプリングになっているようなんですが、Cリングで止められており、自分には分解できなかったので、Twitterに分解画像を上げられていた「こけこ」(@iikokeko)さんから許可をいただきまして画像を拝借しました。
こけこさんによれば、指で差している辺りを磨いたときに音が変わってきたとのことです。
色々あって作業場に行ったので部品外して順番に磨いてみました。
— こけこ🍜 (@iikokeko) September 26, 2021
一番ギシギシ鳴る原因はロックのリングの内側とボタンの側面(指の場所)かと思います。
軸部分から準備に磨いて行ったのですが鳴り止まず、最後にこの2箇所を磨いた時に押した音が変わりました。 pic.twitter.com/2QFLDfBPx1
スプリングは弱めで、軽い力でも押し込むことができます。
ストロークだったりスプリング強度は好みの域ですね。
自分も最初は「軽すぎるかな」と思っていましたが、パッと使うときに力を入れなくて済むのは結構楽だなぁと思い始めてきました。
それと今作から新機能として採用されたインジケータ。
これもデザイン的に賛否両論あると思います。
自分は「いらない派」だったんですが、途中で赤く光ったりするのを見ると「お、なんかどっか異常ある?」って気付けるのは意外と安心感があります。
前作は保護機能が働いたときは、パフしても何もリアクションがないので、そもそも通電しているのかコンタクトが届いていないのかどうなのかもわからなくてちょっと不安だったりもしました。
とはいえ今作だと自分の使い方が悪いのか、チェーンしていると数回に1回くらいは赤く点灯してパフできないことがあります。連続パフで電圧が低下してるのかな?
それと、アトマイザーのコンタクトピンの長さによって、スラントリングを付けると長さが足りなくなり使えないものもあるようです。
自分の手持ちだと「Galaxies RDA」なんかは使えなくなりました。
まとめ
かなり気に入りました!
なんかボトムスイッチってロマンがあるじゃないですか。
Vapeを始めた頃から色んな動画を見たり画像を見たりしてきましたが、「ボトムスイッチ=メカチューブ=上級者」っていうイメージが頭の中に残ってて、今でも憧れって感じです。
自分のメカデビューはKennedy Vindicator 21700でした。一目惚れで今もすごく気に入っているんですが、ハイブリッド接続ってやっぱりセミメカ以上に気を遣うし、「使いこなしている俺」って感じで満足感はありつつも、日常的にふらっと使うにはまだまだ自分が未熟でして。25mm径の21700バッテリー使用で本体もちょっと大きくて重いから持ち運びも大変だしね。
そんな折に登場したこの子なんですが、基盤による保護機能やロック機構の安心感、24mm径で軽い、っていうところで意外なほど気軽に使うようになりました。
電源オン・オフも出力調整もないところがより「メカチューブライク」になって心の隙間を埋めてくれているんだと思います。
こんな感じなので、メカチューブ入門にももちろんですが、これをある意味ゴールと捉えてメインでガシガシ使っていけるプロダクトだと思います。
あとは「22mm経がよかったのに」って気持ちは少なからずあります。
冒頭にも書きましたが、実用的な範囲でできるだけコンパクトにってなるとやっぱり22mm経が理想的ではあるんですよね。
最近Cthulhuのリリースしているアトマイザーも大体が22mmなことを考えると需要は把握しているんだとは思いますが...。
内側のインシュレーターが結構厚めなので24mmにせざるを得なかったのかな?
22mmだったら爆売れだったと思いますが、色々事情があるんでしょう。
それを差し置いても、少なくとも自分は満足できています。
ちなみに、基盤があるってことは基盤がダメになったら使えないってことなので、精神安定上保険のつもりでFlavor-kitchenさんにて予備基盤セットで購入しました。
お値段は予備基盤込みで大体6,000円弱くらいでした。
国内には結構入ってきているみたいですが、海外だとまだプリオーダーのところもあるみたいです。
3FVAPEだとプリオーダーで36ドルくらい。
このくらいなら国内で買ったほうがいいかな?
仮に初期不良があった場合にやっぱり国内ショップの方が対応してもらいやすいっていうのもありますからね。
現状は大きな不具合もなく使えているので、こういうタイプに興味があったらぜひ!