今回はなぜだか分かりませんが急に衝動買いしてしまったEleaf Asterで温度管理するために、ArcticFox(通称:狐)を導入しようと思います。
ArcticFoxとはJoyetech、Wismec、EleafのMODを対象にしたカスタムファームウェアです。これを導入するとオリジナルのロゴを表示できたり、MOD自体の細かいセッティングが可能になりますが、目玉は何といっても温度管理です。
DNAやYiHiなどの温度管理が優秀なMODに匹敵する性能を引き出せるとされています。
これを導入して温度管理をやってみたいと思います。
温度管理と言えば数年前にDNAでおなじみのEvolveが「DNAユーザーでも温度管理を使用しているのは10%~20%しかいない。」と発表していたように、そもそもユーザーの絶対数が少ないです。
これはたぶん、なんとなく「ハードルが高い」と感じてしまうからだと思います。
「温度管理をすれば美味しくVapeできるって聞くけど、いざ調べてみると、やれTCR値だのなんだのかんだのと出てくる」っていうことかもしれません。
かくいう自分もそのクチです。
しかし入り口だけでも十分に効果を実感できますし、これでもっとVapeの選択肢が増えるのは間違いないと思います。
ちなみに温度管理といっても、チタン使ったりTCR使ったりだとかはやりません。
まだまだ経験不足で細かい設定いじって高度なこともできません。
しかしSS316Lワイヤーを使って、TCモードで他のMODよりもしっかり制御してくれればそれでいいのです。
ガツガツチェーンしてもコットンが焦げなければそれでいいのです。
突き詰めていけば深い沼が待っているという温度管理ですが、まずは浅瀬で泳いでみましょう。
ネットで拾い集めたうっすい知識で大雑把にまとめてみたので、触ってみるところから始めてみましょう。習うより慣れろです。
というかまだAsterって新品で売ってたんですね。ディスコンになったような話はどこかで聞きましたが1つは持っていてもいいだろうということを自分に言い聞かせていたら、気づけばポチッてました。
在庫は既にSSしかありませんでしたが、むしろSSが残っていてくれたっていう感じですし、オフィスエッジさんは定価で販売していてくれたのでありがたいです。
※電子タバコ(VAPE)は20歳以上を対象とした嗜好品です。対象年齢に満たない方は使用をお控えください。
※ArcticFoxはEleafの公式でサポートされていません。導入は自己責任でお願いします。
導入
1.ArcticFoxの入手
NFE TeamのHPからダウンロードしましょう。
青色の「Download NFE Tools」と緑色の「Download ArcticFox」をそれぞれクリックして、該当ファイルをダウンロードします。
NFE Toolsは「NFE Tools v~」で数字が一番新しいものを選べば大丈夫です。
Zipファイルなので任意の場所に保存し、解凍してください。
ArcticFoxも一番数字が新しいものを選べば大丈夫ですが、NFE Toolsのバージョンが対応しているか確認しておきましょう。
.binというファイルなので、これも任意の場所に保存しましょう。
NFE Toolsを解凍したフォルダの中に「NToolbox.exe」があるので起動します。
「ファームウェアアップデーター」をクリックし、以下のウインドウが表示されたら「ファイルアップデート」をクリック。
保存した.binファイルを指定しましょう。
これでファームウェアが書き換わりました。
ちなみに、純正に戻したかったらEleafの公式サイトからファームウェアがダウンロードできます。
Eleafworld E cig | Best E-Cigarette Brands | E-Cigarette
2.セッティング
Ntoolboxのトップに戻り「ArcticFoxの設定」をクリックすると、以下の設定画面が開きます。
8個のプロファイルが設定できます。
そのほか、画面表示の待機時間や操作ボタンの割り当てなんかもできたりします。
そのあたりはそんなに難しくないので、触っていれば分かると思います。
問題なのは温度管理の設定です。
SS316Lを使用するのであれば、とりあえず上記の設定をしてみてください。
「出力」のとこだけはそれがプリセットになっちゃうので、もっと低めでも大丈夫です。
プロファイルはどこを使っても大丈夫です。
自分はP1をVW用にしてP2を温度管理用にしてます。
使ってるのは2つだけです。
これをベースに自分好みになるようにちょこちょこいじっていくとなんとなく挙動が掴めるかもしれません。
ちなみに、「モード」の横にある「設定」をクリックすると以下のウインドウが開きます。
ここが温度管理の肝となります。
PI制御の「P」というのは「比例」を意味する「Proportion」の頭文字で、「I」は「積分」を意味する「Integral」の頭文字らしいです。
理論的なことは難しいのですが、結果的にはここをいじるとTCモードでの挙動が大きく変化するというものです。
「制御範囲」
制御範囲とは設定温度の何%から制御を始めるかということです。
例えば、230℃で設定したときに、0%であれば0℃から、50%であれば115℃からということです。
「P(比例定数)」
Pは目標温度と現在温度の差があるときの挙動に影響し、数値が大きければ目標までの到達が早くなります。
数値が大きすぎるとちょっと過激な挙動になるので、個人的には300くらいがちょうどいいです。これは好みです。
「I(積分定数)」
Iは目標温度に近づいてきたときの挙動に影響し、数字が大きいほどプロテクションがかかるようになり、0であればプロテクションは作動せず設定温度に達するギリギリの状態でパフし続けます。
これも好みですが、一般的なMODの温度管理ってこれの数値が大きい挙動、つまり設定温度に達したらプロテクションをかけるっていうものが多い気がします。その挙動にストレスを感じていたり、求めていたのと違うなぁと感じた方も多いと思います。
違うんですよね。我々が求めているのは設定温度で吸い続けることなんですよね。
0にすればまさに理想の挙動を得ることができますが、カラカラに乾いていてもパフし続けてしまうので、それはそれでコットンにダメージが入ります。
なので、自分は200くらいにしておいて、それなりのところではプロテクションをかけるようにしています。
試してみる
1.環境
アトマイザー:Ammit RDA
コイル:SS316L 26ga 内径3.0mm 5巻 0.42Ω
コットン:Cotton Bacon Prime
出力:25W
設定温度:200℃(コットンへのダメージを考え低めにしました)
I(積分定数):0(パフし続けるようにしました)
ドリップリキッド:QUEENS LAB 無氷結
2.結果
これにドリップしてひたすらパフし続けた結果がこちらです。
これどのくらいパフしたと思いますか?
10秒プロテクションを6回かけたので、60秒です。
ここまでカラカラになると一瞬で設定温度に達してしまいますが、その5℃くらい低い温度でパフが続きました。
コイル部分は変色していますが、コットンが焼き切れることもなく、この色だとおそらくガンクだと思います。もともとガンクつきやすいリキッドなので。
ちなみに、温度管理をする場合は抵抗値を低めに組んだ方がいいと言われます。
これはMODが実際の温度を測定しているわけではなく、コイルの温度上昇による抵抗値の変化を読んでいるためです。
また、SS316Lよりもチタンなどの方が温度の上昇に伴う抵抗値の変化が大きいのでより正確な温度管理に向いていると言われています。
抵抗値の変化を読むため、温度管理する際は必ず「抵抗値ロック」を掛けましょう。
これは基準になる抵抗値を設定しておくことで、MODはどのくらい抵抗値の変化があったかを読むことができます。逆にいえば、これをしておかないと基準がなくなり、うまく温度管理が働かなくなってしまいます。
大雑把にいえば「抵抗値低めに組んでロックする」ってことですね。
それと、上記のPCで行った設定の大部分はMODのみでも行えます(操作は面倒ですが)。
なので、ビルドした後に抵抗値ロックするためにわざわざPCに接続しなくても済みますし、I(積分定数)などもいじれるので、色々試したくても大丈夫です。
まとめ
Asterは思いつきで買ってみましたが、スリムでコンパクトでめちゃくちゃ使いやすいですね。買ってよかったです。名機と呼ばれるのも納得です。
温度管理をちゃんと試してみたのは初めてでしたが、これだけでもArcticFoxの優秀さがわかりました。
ワイヤーを変えたりセッティングを変えたりすればまだまだ沼の底が見えません。
自分の場合は「チェーンし続けてもドライヒットしない」という目標は達成できましたし、体に有害なリスクのあるチタンやNi200を使うほどの知識も覚悟もありませんので、今のところここで満足しています。
きっとリキッドやアトマイザーとの相性によっても適切なワイヤーやセッティングがあるっていうのはビルドそのものにも共通すると思いますが、まだまだ使いこなせる域には達しません。
しかしいざやってみるとすごく簡単な割に大きな成果が得られると思うので、「温度管理」っていう文字だけで拒否反応を示していた人にこそぜひやってほしいですね。
そしてそのままどっぷり浸かって、自分に温度管理を教えてください(切実)